終わらない鎮魂歌を歌おう―魑魅魍魎の跳梁跋扈せし時代にて―

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  scene10.剣士と眠り姫  




放心状態でぺたりと座りこんだ鉄輝のもとに、体に戻ったやよいたちが慌てて駆け寄る。

「あんた大丈夫?」
「つかボーズ、お前なんで見えたんだ?」
「……わかんねー……この傘もってたら、なんか見えて……」

不思議そうに首をかしげる鉄輝の手には、件の傘。
開きっぱなしのそれは、もうどこにも変わった様子は見られない。

「打ち払えた……のかな。」
「え?」

どうして光が溢れたのか。
あの女は何を見たのか。
何故突然消えたのか。

鉄輝にはわからないことばかりだったが、それでも鉄輝は充実感で満ちていた。

「……っ!そうだ、サチ……」
「あれぇ、なんでこんないっぱいいるの?」

場の雰囲気に似合わない、寝起きで少し掠れた可愛らしい声に、そこにいる人間が一斉に振り向く。

「?みんなどうしたの?」
「「早智!!」」

事情が全く飲み込めていない眠り姫が、上体を起こしてきょとんと首を傾げていた。






泣きじゃくる夫婦に気圧され、疑問符を飛ばしながらも二人を宥めていた早智だったが、ふと鉄輝の方を向いて、あれ、と声を漏らした。

「鉄っちん、さっきの二人は?帰ったの?」
「え!?」

早智の指摘に振り向けば、先ほどまでそこにいたはずの死神屋は消えていて。
慌てて家の外に出たけれども、最早黒い着物の二人組は影も形もなかった。



まるで、風に乗って空を渡っていってしまったかのようだった。

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