終わらない鎮魂歌を歌おう―魑魅魍魎の跳梁跋扈せし時代にて―
scene4.噂の人
「とりあえず札あげるから枕元に置いといて。」
懐からだした札を甘崎に預ける、杉原の表情は暗い。
「でも、これはあくまで時間稼ぎにしかならない。それ以上は、申し訳ないけれど、術師の域を超えている。どうにかするには……」
「死神屋を、呼ぶしかないわ。」
出てきた単語に、夫婦は息を呑んだ。
噂でしか知らない『死神屋』。
「……どこに、いるのかな……。」
呟くような美紀の言葉に、杉原も首を振る。
「私も、黒衣の二人組で、全国各地を回ってるらしい、ということしか知らない。」
それだけ知っていても何の意味ないけど、と杉原は溜め息をつく。
そうして家の中での会話は途切れた。
「二人組……?」
呟いたのは、鉄輝。
ここらで見ない顔で、二人組。
黒い服。
鉄輝の頭に、一つの場面が浮かぶ。
『チビ大丈夫か?あとやよい……は大丈夫だな。』
『ちょっとは心配しなさいよ。』
「あの二人……」
「優さん、美紀さん!」
「あら、鉄輝?」
戸を乱暴に開けて駆け込んできた鉄輝に三人の目が集まる。
「俺、知ってるかも!死神屋!」
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