終わらない鎮魂歌を歌おう―魑魅魍魎の跳梁跋扈せし時代にて―

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  scene2.サチ  



「サチっ!美紀さん、サチはっ……」

駆け込むと同時に発せられた名前に、美紀さんと呼ばれた人物は、いらっしゃい、と笑顔を作る。
だがその中に悲しみが混じっていることは鉄輝から見れば明らかだった。

「……サチ……まだ具合、悪いのか?」
「ええ、ごめんね。また今度遊んであげて。」
「うん……ちょっとだけ上がってもいい?」
「ええ、どうぞ。」

履き物を脱いで、鉄輝はそろそろと早智の枕元に座った。

「なぁ、サチ。今日はな……」

雪村と稽古をしたこと。もう少しで一本とれそうだったのに、結局負けてしまったこと。
師範の響が竹刀をくれたこと。
音屋のアキがまたハルカに怒られていたこと。
ここに来る途中で見慣れない二人組と会ったこと。


全て話し終えても、早智は未だ目を覚まさない。
ツンと鼻の奥が痛んだが、頭を振って堪えた。

「……っそーだ、お前の好きなあの桃色の花!あれきっともう咲いてるから取ってきてやるな!」

またすぐ来ます、と残して急いで出ていった鉄輝を見送って、美紀はそっと目を伏せた。





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