おい空に手を伸ばして








『俺は今でも……お前を親友と思っている』


普段はほとんど本心を喋らないくせに。
「……肝心な時ばっか素直になってんじゃねぇよ、バーカ。」
矛盾しているのはわかっているが、他に今の気持ちを表す言葉が無いのだから仕方がない。


本当は、嬉しかった。
けれども……今更戻れない。
意地っ張りな自分の性格をこれほど呪ったのは初めてだ。
「……あー……」
寝転んだまま、ただ蒼く蒼く広がる空を掴むように手を伸ばしてみるが、もちろん届くはずもなく。
ふらふらと腕を揺らしながら、その空は永井に似ているのかもしれないと、ぼんやりと思った。

いつだってそこにあるように、いつだって、そこにいたのに。
どうしても、届かなくて。


バカは俺の方だ。

肝心な時こそ、素直にならなきゃいけないのに。


「……まぶし。」
こうして見えているのに、あの蒼い世界は、ひどく遠かった。








『っぐぁあああああ!!』

その叫び声に俺は飛び起きた。
意外と近くから聞こえた、忌々しいロッキーの声。
続けて、ボソボソと、しかしながら焦ったような声。
「永井……?」
その異変に気付いた瞬間、俺は走り出していた。


そこにいたのは、うっすらと笑みを浮かべている滑塚さんと、宙に浮いて苦しそうにもがいている永井。
意味がわからないが、こんな時は見過ごしてはいけないということくらい知っている。

(まったく、『親友』は大変だな。)

そう溜め息一つ吐いて、俺はプレートを取り出した。
「親友」という響きについ頬が弛んでしまったが、誰も見ていないのでよしとする。


小さく深呼吸して、一歩踏み出す。










――今なら、空に手が届く気がした。






















そんで出てって、また明日。に繋がるわけです。

背景はAtelier 涅槃寂靜様からお借りしました。