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ー ♯16
“with ×××××”
「昔なー、ゆーちゃんに言ってん。先輩には彼女がおるから、諦めるって。一応先輩が好きやってことはあの子も知っとったからな。」
「そしたらあの子な、お疲れ、って言って。下手な慰めより、嬉しかった。あの子の優しさは、ホンマ好き。・・・でな、約束させられてん。」
『じゃあまた好きな人ができたら、絶対教えてな!約束!』
「・・・」
「・・・それなら言わせてもらうけどさ、ゆーちゃん。」
「私はあなたが好きなんです。」
「・・・」
「・・・なんて言ったら、今の関係のままじゃいられへんよな。」
「少なくとも、今よりはぎくしゃくする。」
「やっぱり、何がしたいんかわからへんわ。」
「ねぇ、アロエリーナはどう思う?」
「・・・ま、返事したら怖いけどさ。」
「・・・郡山さんは、なんて言うんかなぁ・・・」
「・・・」
「・・・最近、な。郡山さんがちょっと気になるんよ。」
「そらゆーちゃんと郡山さんどっち好き?って訊かれたらもちろんゆーちゃんやねんけども。」
「少しだけ。ほんの少しだけ。」
「・・・まぁきっと、優しいからやと思う。」
「・・・」
「例えばの話やけど・・・もし、ゆーちゃんより郡山さんの方が好きになって、それを郡山さんに言ったとしたら、」
「郡山さんは、私を軽蔑するんかな。」
「まるで、ゆーちゃんの代わりにあの人を求めてるみたい。・・・みたいっていうか、実際そうなのかも。」
「郡山さんは鋭い人やから、きっとそれがわかる。そして・・・軽蔑するんやろな。・・・もしかしたら受け止めてくれるかもしれへんけど。」
「・・・あかんあかん。優しさに甘えたらあかん。それに私が好きなんはゆーちゃんなんやし。」
「・・・いっそのこと、最初から郡山さんが好きやったらよかったのに。河本先輩でもゆーちゃんでもなく、最初からあの人が好きやったら・・・もう少し普通な悩みやったんやろなぁ・・・」
「まぁ、ゆーちゃんを好きになってんから、全部今更な話やねんけどさ。」
「あー・・・ホンマ、何がしたいんやろ、私。」
「・・・聞いてくれてあーりがっとアロエリーナ。」
浮雲ラプソディー
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ー ♯17
“with 郡山”
「ドーナツ食べたいなぁ・・・」
「・・・」
「でもお金ないねんよなぁ・・・」
「・・・」
「誰か奢ってくれへんかなぁ・・・」
「・・・」
「ゆーちゃん・・・は私以上に今ピンチらしいしー」
「・・・」
「あっちゃん・・・はこの前もだめって言われたしー」
「・・・」
「・・・やよいちゃん・・・は、なんか下手したら私がたかられそうな気ぃするしー」
「・・・」
「あー、何処かにドーナツ買ってくれる優しい人おらへんかなー」
「・・・」
「何処かにドーナツ買ってくれる昨日バイト代入った自宅通学の優しい大学生のお兄さんおらへんかなー」
「・・・何や、何が食べたいんや?あ?」
「ポン○リング!!」
「・・・ったく、そんな具体的な『誰か』って、遠回しに言わんと素直に頼めやー」
「いやー、そしたらやっぱり即答で拒否るでしょ?」
「いや、機嫌良かったらこうたるかもしれへんで?」
「マジすか!じゃあ買ってください!」
「だが断る。」
「ひどっ!純真な女子高生を弄んで!」
「いやいやいやもてあそぶって・・・しゃーない、もう買ってきたるわ。」
「やった!郡山さんありがとうございます!」
「はいはい。じゃあお前はおとなしく勉強しとけよー」
「えー、私も買いに行きたいです!」
「受験生は勉強やろ。ポン○リングでええねんな?」
「チョコレートのやつお願いします!」
「はいはーい」
浮雲ラプソディー
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ー ♯18
“with 郡山”
「どないしたん、なんか元気ないやん。」
「あー・・・ちょっと嫌な夢を見まして。6時間目に。」
「いや起きとけや!」
「あはは・・・まぁ自業自得なんですけどね」
「ふーん・・・どんな夢やったん?」
「・・・夢の中で、私は崖から落ちそうになってるんです。なんとか片手でしがみついてるんですけど、だんだん力抜けてきて。下は真っ暗で、どれくらい深いかもわからないんです。それで、『ああ、もうだめだ』、と思った時。・・・河本先輩が、現れたんです。」
「ふむ?でも助けてくれんかったとか?まさか突き落とされた!?」
「いえ・・・最初、先輩は駆け寄ってきてくれたんです。けど、先輩がしゃがもうとした時、『助けて』って・・・声がしたんです。」
「・・・」
「聞いたことない声だったけど、私は、それが誰だか知っていたんです。・・・・・・先輩の、彼女。」
「・・・それで?」
「で、横を見たらその人も私と同じように落ちそうになっていて・・・後はもう、わかりますよね。」
「・・・」
「先輩は少しだけ迷ってから、『ごめん』と言って彼女の元へ。そして残された私は・・・悲しくなって、掴まっていた手を離したんです。・・・それで終わり。」
「・・・そっか。」
「たかが夢ごときでこんなヘコむのも情けないってわかってはいるんですけどね。ていうか、何で今更、って感もあるんですよ。」
「うーん・・・ちょっと待ってな・・・」
「・・・?郡山さん?どしたんですか?」
「・・・よしっ!」
「うわぁ!びっくりした!」
「あんな、よく聞け。お前の夢ん中には、実は俺もおった。」
「へ?・・・いや、いませんでしたけど・・・」
「いや、おってん。お前の死角に。そんでな、河本は彼女に気付いた後、俺にアイコンタクトしてん。『しょーへー、神原を頼む!俺はあいつを!』『よっしゃ、まかせとき!』ってな。」
「・・・『ごめん』ってのは?」
「あー・・・それはアレや、俺に言ってん。『ごめんやけど二人同時は無理やから一人頼むわー』的な。」
「・・・なんかものすごい舞台裏だったんですねぇ・・・私の見えないところで・・・」
「おぅ。でもあいつはお前を見捨てたわけやないし、お前も落ちてない。な?ハッピーエンドや。」
「・・・あははっ、強引なハッピーエンドですねー」
「ええ終わり方やろ?」
「まあまあですかねー。・・・でもすっきりしちゃった!」
「よし、完璧やな!」
「はいっ!じゃあ、今日も勉強がんばるぞっ!おぅ!」
「おー、どんどん質問きいやー」
「はーい」
「郡山さん。」
「ん?」
「・・・助けてくれて、ありがとうございました。」
「・・・どーいたしまして。」
浮雲ラプソディー
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ー ♯19
“with 郡山”
「・・・なぁ神原。」
「はい?」
「お前、小野には告らんの?」
「あはは、告ってますよー」
「マジで!?」
「ええ、よく『好きよー』って言ってますよ。」
「・・・いやそれはちゃうやろ。」
「あはははっ」
「俺が言いたいんは、もっとこう真剣な・・・」
「何、どうしたんですか?突然。」
「いあー・・・ちょっと去年のこと思い出してん。ほら、ここで俺相手に・・・」
「あー!告白の練習させてもらいましたねー!!なつかしー・・・使わなかったケド。」
「しませんよ。」
「・・・そうなん?」
「はい。・・・だって、告白したってゆーちゃん困らせるだけですもん。望みなんてあるわけないし。それに、壊したくないんです、関係を。」
「まぁ・・・そやな・・・。」
「でしょ?・・・一人占めしたいっていうのはありますけど。」
「んー・・・まぁお前がいいって言うんやったらいいけど・・・」
「あはは、ありがとうございます。・・・でも、いつかは言おうと思ってます。・・・約束、したんで。」
「約束?」
「ええ・・・約束。」
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ー ♯20
“with ゆーちゃん”
「っくしゅん!」
「ゆーちゃん風邪!?」
「んーん、たぶん大丈夫やと思・・・っくしゅん!うあ゛〜」
「えー、それやっぱ風邪やない?それとも誰かが噂しとんかなー。」
「ははっ、噂の方かも。誰に噂されとんかなー。」
「あっちゃんとか?やよいちゃんかな?郡山さんは・・・ないなー。」
「先生に噂されとったらどないしよー・・・って、郡山さんって誰?」
「あ、そっか、ゆーちゃんは知らんのやったっけ。河本先輩のお友達で、放課後ちょっとだけ勉強みてもらったり相談にのってもらったりしとんねん。」
「相談?何か悩んどん?相談のるで?」
「あ、いや、大丈夫!相談っていっても大したことやないし、それにゆーちゃんの勉強の邪魔したくないし!」
「邪魔なわけないやん、ほれ、どんなこと悩んどん?」
「うーん・・・いや、やっぱ大丈夫!いける!」
「ふーん・・・」
「・・・どしたん?」
「いや、私には相談できひんことなんかなーって思って。」
「や、その・・・そうやないねんけど、何て言ったらええんかな、今は言われへんっていうか、んっとー・・・」
「いいよ、無理に言わんくても。」
「違うんよゆーちゃん、その・・・」
「ううん、言われへんのやったら言わんでいい。ごめんな、しつこく聞いて。」
「いや、私こそごめんな・・・(だって素直に『ゆーちゃんが好きってことを相談してます』なんて言われへんねんもん・・・!)」
「いいよー。」
「・・・(あー、どないしよこれ絶対傷つけてる!言うか!?言うべきか!?いや早まるな神原!や、でも、でも・・・!!)」
「じゃあさ・・・待っとってもいい?」
「え?」
「さっきさ、『今は言われへん』って言ったやんか。ってことは、言える時が来る・・・ってことやないん?」
「・・・うん。」
「やったら、待ってる。」
「・・・だいぶ長いことかかるかもしれへんよ?」
「いける。待っとる。待っとうからな。」
「・・・うん。ありがとう、ゆーちゃん。」
「おうよ。じゃ、指きりしよ。」
「うん」
「「ゆーびきーりげーんまん うそつーいたら針千本のーますっ!ゆーびきったっ!」」
浮雲ラプソディー