「おや、早いですね。」
「まぁな。」
ほらまた、お前は笑っている。


そつきのきみは、きょうもわらった。



最近無性に苛々する。
原因はハッキリしている。こいつの、このうさんくさい笑顔だ。


『承知しました。』

『大変よろしいかと。』


イエスマンはその笑顔と共に、奴等の言う「神」の望む言葉を吐き続ける。
まるで『神』の人形のようで、気味が悪い。
それの何が気に入らないのかというと、その態度が『神』の前だけでなく……俺の前でも変わらないということだ。

それが本当に楽しくて笑っているのならまだよかった。
だが、あの笑顔にはそんなものは含まれていない。
どうして、そんなにニコニコしているくせに自ら境界線を引くのか。

そうだ。こいつの笑顔は、全てを拒絶している。
それに気付いてからは、それを見る度に吐き気がした。

そして思う。


できることなら、その笑顔を消してやりたい。

その偽りの笑顔を、消してやりたい。



……けれど、
「どうかしましたか?」
「……別に。」
そうすれば、笑顔というよりこいつ自体が消えてしまいそうで、


(何故ならその偽りは、神が望んだものだから。)



結局、何もできないのだ。













笑わないでほしいんじゃなくて、心から笑ってほしいと思っているキョン。
副題:ジレンマ