「おやすみなさい、良い夢を。」の続きみたいなものです。ハルヒ視点。
「『入室の際は静かに』?これ、有希の字よね……どういうことかしら。」
不思議に思いながらも、あたしはそっとドアを開けた。そして目に飛び込んできたのは――
いつもの位置で本を読んでいる有希と、二人もたれあって寝ているキョンと古泉君だった。
見慣れない光景に思わず立ちすくんでいると、有希がそっと自分の口に人差し指をつけて、
「二人とも疲れている。このまま寝かせておくべき。」
と、いつもより3割減の声で告げた。つられてあたしも小声になる。
「やーね有希、あたしが無理やり起こすような非人道的なことするはずないでしょっ。」
「…………そう。」
返事までの間が長かった気がするけど、気のせいということにしておく。
そっと自分の定位置について、さて、今日の活動はどうしようかしらと思考をめぐらす。
みくるちゃんと騒げないし……うーん……
考えながら何の気なしに、寝ている二人に目をやった。ホントよく寝てるわね。
古泉君はバイトが忙しいのかしら、日常生活に支障をきたさなければいいけど……。キョンは夜更かしね、間違いないわ。
「ふぁ……」
やだ、なんだかあたしまで眠くなってきちゃったじゃないの。
「……有希、あたしも少しだけ寝るわね。」
机に伏しながら、有希が小さく頷いたのが見えた。
心地よい眠気に包まれながら、あたしはさっき見た二人を思い出した。
あの時、キョンの寝顔が、いつもの顔より少し優しいように見えたのは、きっと気のせいなんだと思う。
だから、ほんのちょっとだけ古泉君がうらやましく思えたのも――きっと、気のせい。
これも某所に投下させていただいたものです。