しもし、あなたですか?




「はい、そうですよ。」
「ふふ、ちゃんと聞こえるねぇ。」
「そやねぇ。」

今、私と彼女をつないでいるもの。細い糸と、紙コップ二つ。
いわゆる、糸電話だ。

この間の文化祭で使った余りで、彼女が作った。

郡山さんが来るまでのひと時。その暇潰し。
ゆっくりと流れるこういった時間が、私はとても好きだ。

「あーあー、本日は晴天なりぃー。」
「思いっきり雨天でーす。」
そやったぁー、とからから笑う彼女は、私の好きな人。
彼女の声が、細い糸を伝って耳に響く。
このくらいの距離は、いつまで保障されているのだろう。
糸電話で話せるくらいの、この距離が。


紙コップ二つ。私たち二人。つなぐ糸は白色で、赤ではない。



それでも、今は。

「しあわせ。」
糸を弛ませた上で、そっと呟いた。

「なんかゆったー?」
「んーん」




遅れるからとメールが来たのは10分前。

おそらく、ここに着くまであと20分くらい。



その20分ができるだけゆっくり進むようにと、願う。



『もしもし あなたですか?』











いつも書くのが遅いので、30分で完成させようと頑張った。
普段だったらこれに色々つけてって、結果的にごちゃごちゃしちゃうんだけど。
シンプルだっていいよね!