か ならず、君に会いに行くよ。
「オレさ、今度引っ越すんだ。」
「ひっこす?何だそれは。」
そう首をかしげる飛影に苦笑して、蔵馬は言い直した。
「この家から出て違う所に住むんですよ。まぁ引越しというより、一人暮らしなんだけどさ。」
それで今してるのがその準備、と続けて、蔵馬は再び荷物を整理しだした。
「引っ越すっていってもここから駅5つくらいの距離なんだけどさ。」
駅5つぐらいの距離、というものがいまいちわからずに顔をしかめる飛影を尻目に、これは持ってく、これはいらないかな、などと呟きながら物を二つにわけていく。
飛影はなんとなしにその作業を眺め、ちょっとの間、静かな時間が流れた。
「そうだ。」
ふと蔵馬が手を止めた。
「新しいとこ、住所言っても飛影わからないだろ?」
だからさ、と蔵馬は振り返る。
「邪眼で見つけて来てよ。オレの新しい場所。」
ね、と蔵馬は笑ったが
「めんどくさい。」
にべもなく言い放った飛影に、言うと思った、と蔵馬が大げさに肩をすくめてみせた。
なら聞くな。ちょっと言ってみたかったんですよ。といった会話をして、蔵馬は荷物の山に向き直った。
先程とは少し違う、静かな沈黙が生まれた。
「……おい。」
「ん?」
沈黙には慣れているはずだったが、今日のその空気はなんとなく苦しいように飛影は思った。
しかしどう言えばいいかわからずに、開きかけた口を閉じる。
「……何でもない。」
「?」
変な奴、と笑ってから、ああ、暇ですよね、と一人で頷いた。
「じゃあこれはまた後でやるとして、どっか行こっか?……そうだ、折角こっち来たんだし、幽助んとこ行こ、ラーメン食べに。」
そう背を向けたまま楽しそうに『言ってみせた』蔵馬に、飛影は小さく舌打ちをした。
「どうかしました?」
反応して怪訝そうに振り向いた蔵馬を、まじまじと見る。
(……気配でまるわかりだ。)
そう心の中で毒づき、少しだけ迷って、口にした。
「見つけてやる。」
その言葉で蔵馬はますます怪訝な顔をしたが、次の瞬間、それの指す意味を理解した。
「……ホントに?」
「……一度口にしたんだ、撤回はせん。」
言いながら自分らしくないということはよく分かっていた。実際、もっと昔であったなら、何も言わなかっただろう。
それ以前に、気付かなかったはずだ。「言うと思った」と口にした時からの、少しだけ寂しげな気配に。
だから口に出した後も正直、その自分自身の変化に戸惑い、そして少しだけ苛立った。だが、
「ありがとう。」
蔵馬が笑った。
それだけで、もうどうでもよくなった。
俺も甘くなったもんだ、と飛影が一人ぼやいた台詞は、耳のいい蔵馬には聞こえていた。
だが、そう呟いた彼の口元にほんの微かな笑みが浮かんでいたことは、誰も知らない。
友情に目覚めた飛影のお話(*´v`*)