へ いきな顔って、どんなのだっけ。
「俺は五嶺様が大好きですから。」
自信満々にそうのたまったのは、いつも側にいる豚だった。
豚の言うことを、アタシが気にする必要はない。ないのだけれど。
『若様ってちっこいくせになんか恐ろしいよな。』
『俺、実はかなり苦手。』
『あ、俺も俺も。』
(うるさい)
『なんだよあいつ、偉そうに。』
『いいよな、お坊ちゃんは。』
(うるさい)
ざわざわうるさい外野。
何も聞きたくない。
何も、聞きたくない。
だからアタシは、全てを削除した。
もう他人にどう思われていようと、関係ない。
アタシはアタシだけで、やっていける。
もう誰の言葉にも、惑わされない。
そう思っていた。
実際、そうやって生きてきた――
……はずなのに。
『俺は五嶺様が大好きですから。』
ただの豚であるそいつの言葉が、どうしてだか、ひどく心に響いた。
「ごっ、五嶺様!?どうなさったんですか?」
「え……?」
言われて初めて気付いた、零れたその雫の意味を、その時のアタシは、まだ知らない。
後書き
子供時代。
五嶺に一生ついていく理由をこともなげに言うエビスと、予想外の言葉にびっくり、そしてじんわりする五嶺。
ノベライズ読んだ勢いで書きました。
エビスはノベライズでも五嶺をめっちゃ慕ってますね。
で、なんだかんだでエビスをちゃんと見てる(らしい)五嶺。
いいコンビですね。
追記―大好きってのは主従的な意味合いですからね。違う意味だったらそんな堂々と載せるわけないじゃないですか。(……