この話は激しくキャラが違います。
耕太が普通にかっこいいお兄さんで変態です。そしてアホです。
やよい嬢もアホです。よろしくお願いします。
「・・・コータ、見つけた。」
「了解、今どんな感じだ?」
「また新しい人に取り憑いてるみたい。・・・急ごう。」
「おう。」
静かに会話は進み、そして終わりました。
先ほどまで男性―コータと呼ばれていた人物―がいた場所には、もう誰もいなくなっていました。
今日の彼らは、普通の死神ではありません。
彼らは――特別設置の治安維持隊でした。
最近、下界では原因不明の怪死事件が多発していました。
原因だけでなく死因も不明のため、新世界を作ろうとする神気取りの人間の仕業ではもちろんありません。
あまりに多いので、軽くやばいとお思いになった水先案内サービスセンター日本営業部の偉い人は頑張って、人間にはわからない情報なども駆使して調べてみました。
そして出た答え。その原因は――悪霊。
それも生きている人間を強引に幽体離脱させ、出てきた魂を食べてしまうという恐ろしく性質の悪いモノでした。
それを倒すべく設立されたのが、件の治安維持隊です。
その治安維持隊は、今日も今日とて元凶である霊を探し、そしてつい先程、見つけたのでした――
少女――奈緒は、灰色の空間の中で一人、彷徨っていた。
全く覚えの無い場所にどうして一人でいるのか、奈緒はわからなかった。
不安が胸を黒く染めていくのにつれて視界がぼやけていくのを、奈緒は必死に止めようとした。
その時。前方に、黒い影を見た。
慌てて目の端の水滴をぬぐい、たたっ、と走りよったが、突然びくりと足を止めた。
近寄ることで、その姿がよりはっきりと見えた。
黒いフードをかぶり、同じく黒いマントに身を包んだ、何か。
ぞわりとトリハダがたった。
「あなた・・・誰?」
躊躇いながらもそう奈緒が話しかけた、その時。
「ひっ・・・」
「・・・つーかまーえたvv」
奈緒の細い腕は、それ以上に細い枯れ木のような腕に掴まれていた。
慌てて振りほどこうとするが相手の力は驚くほど強く、動かすことさえできない。
奈緒の頬を嫌な汗が伝う。
「は・・・なし、て・・・」
途切れ途切れの言葉は震えている。
相手はそれに答えず、もう片方の、同じく枯れ木のような手をかぶっていたフードに掛けた。
「ボクが誰かって・・・?」
深くかぶっていたフードが、だんだんと上げられていく。
ぱさりと、静かにフードが後ろに落ちた。
露わになったそれに、奈緒は再び息を呑んだ。その反応を楽しんでか、あるいは「その後に起こることを期待して」か、ソレは笑いを含んだ声で、奈緒の質問に答えた。
「ボクはねぇ・・・しぃーにぃーがぁーみvv」
その露わになった顔は、まるっきりハロウィンのカボチャそのものであった。
死神。そのカボチャ男はそう名乗った。
黒装束に、不気味な笑い顔。
「お前は死ぬんだよ。だからココにいるのさ。」
「死・・・ぬ・・・?」
「そvだからこそ、ボクもココにいるんだv」
「な・・・んで・・・」
「何でって、決まってるじゃないかv」
「お前の魂を食べるためにさぁアあぁァ!!!!」
「いやぁぁぁぁ!!」
力の限り奈緒が叫んだ。しかしソレはケタケタ笑い続ける。
その恐怖に、奈緒は固く目を瞑った。その時だった。
「うぎゃあっ!」
突然の叫び声とともに腕が放され、それまでの勢いで奈緒はどさりと尻餅をついた。
「なななっ、なんだよお前ら!」
焦ったその声に奈緒は顔を上げた。
その目に映ったのは、
「ひとーつ、人の世の生き血をすすり・・・」
「ふたーつ、不敵のネコミミ娘・・・」
「みーっつ!醜い・・・って違ーう!!」
ややあって、鉄拳のツッコミが入る。
「この変態!なにノリで台詞変えてんのよ!ふたーつ、不埒な悪行三昧!」
「いけると思ったんだ!いけると思ったんだ!」
「黙れ新米!いけるかバカ!どっからきたのさその自信は!あーもういいからまとめいくよ!」
「うぃ・・・」
「「というわけで、本家本元の死神コンビ、参・上!!」」
「・・・ぐだぐだやん。」
かぼちゃが思わずツッコミを入れる。
そんな中で、奈緒は気付いた。
灰色だけだった空間に、初めて光が射しこんだ事を。
「本物が来るなんて・・・でもいーもんね!先に食べちゃうもんね!」
「やっ・・・」
「させるかっての。」
その声が聞こえた瞬間、耕太は奈緒の前に立っていた。
「お前!?いつの間にっ!」
「さーな。」
そう答えながらよっこらしょ、と耕太は奈緒を抱きかかえた。
「わっ・・・」
「何してんだよおまえっ!」
カボチャが慌てて手を出すが、それをふわりと避けつつ耕太と奈緒は宙を舞っていた。
「あんたの相手は、こっち。」
カボチャがその言葉に振り向く。
目の前には、鎌を大きく振りかぶったやよい。
「うわぁぁぁぁ!!!」
「うっ、浮いて・・・」
「ん、あー、とりあえず掴まってろよ?」
奈緒にそういった後、今度はやよいに声を掛けた。
「やよい、一人で大丈夫か?」
それに対しての返事はなく、代わりに返ってきたのは
「うわっ!!」
先ほどカボチャに投げた鎌と、
「主・任!」
という怒鳴り声だった。
「心配ご無用。三桁の実力でもってわからせてやろうじゃないの。死神の名を語ってこんなことをした罪が、どれほど重いかってことをね。」
そう言う彼女からは、どす黒いオーラが出ている、ように見えた。
(怖っ!あの人怖っ!!)
(俺だって怖い!!)
そんな二人の囁き合いには気付かないで、やよいはじりじりと距離をつめる。
それと同じように、頭の一部が欠けたカボチャが、一歩一歩あとずさる。
「さぁ・・・どう料理してくれよう・・・」
「うっ、うわぁぁぁん!!(泣」
本日三度目の、悲鳴。
というわけで治安維持隊はめでたく悪霊を退治できたわけです。
ちなみにかぼちゃは後で2人がおいしくいただきました。
・・・というのもあれなので、被害者に食べさせてみました。
「はい。」
笑顔の彼女――やよいが差し出したのは、おいしそうな・・・
「え・・・パンプキンスープ?」
「あー、惜しい。正解は“パンプキン的な何か”のスープでした。」
「何かって何!?ひょっとしてさっきの・・・」
「遠慮しなくていいんよ?」
「そうじゃなくて、あの・・・これ、さっきのカボチャで・・・?」
「ええ。」
その言葉で、奇妙な沈黙が流れた。
「元々くりぬいてあるものだからさ、作るの苦労したんよ?」
「でも・・・」
「おいしいから!たぶん。」
「その、えっ・・・と・・・」
「食べなさいって。」
「う、あの・・・」
「食べろ。」
「いただきます」
しばらく迷っていた奈緒だったが、やよいの強引な説得で、しぶしぶ一口すくって食べてみた。
「どう?」
「まず・・・いやおいしいですごめんなさいごめんなさい。」
やはりまずかったのだが、そこは無言の脅迫で言葉にさせなかった。
「でしょ?とりあえず全部食べちゃいなさい。それにはあんたが今まであいつに吸われてた生気が詰まっているから。」
「え?」
ある意味拷問じゃないか、とスープを見つめてフリーズする奈緒を無視して、やよいは話を続けた。
「知ってるだろうけど、最近さぁ、なんか原因不明の怪死が流行ってるんよ。それ、あいつの仕業。」
「っ・・・」
知らないはずなかった。最近ニュースで毎日報道されていること。
だが、まさか自分がそうなるなんて――
「あたしらが来なかったら、あんた死んでたんよ?」
間に合ってよかった、と笑うやよいに、奈緒は俯いて尋ねた。
「・・・じゃあ、あのカボチャは私が死ぬから来たんじゃなくて・・・」
「あんたを殺しに来たわけね。」
やよいのその言葉に、奈緒は改めて背筋が寒くなるのを感じた。
それを振り切るように急いでスープを飲む。
「うぇ・・・」
「ん?」
「あああゴメンナサイゴメンナサイほんとおいしすぎて涙出そうですマジで」
実際泣きかけている奈緒の肩を、耕太がそっと叩いた。
「良薬口に苦し、ってやつだ、耐えろ・・・」
「コータ、それどーゆー意味?」
そうしてなんとか完食した奈緒は、色々な意味で泣きながらも、「ありがとう。」と笑った。
「これで、もう殺される人はいないんだよね。」
「ああ。」
「よかった・・・ホントに、ありがとう。本物の死神さん。」
そう言って、奈緒は自分の体に帰っていった。
「・・・終わったな。」
「終わったねぇ。」
「なんか、こういうのもいいな。」
「こういうの?」
「そ。たまには、鎮魂歌以外を歌う仕事もいいよな。」
「・・・そうだね。」
中途半端なオチに対してのお詫びという名の後書きという設定の更にオチのない会話。
「っとまぁこんな感じだったんよ。てかこれ、99%は私の活躍だわね。」
「いやいや俺も結構活躍してたって、24%は行くだろ俺の分。」
「微妙に四分の一超えられないところが耕太先輩らしいねぇ。」
「うるせぇ西。ところでお前は最近どうなんだよ。」
「やよい先輩はやっぱかっこいいですね!尊敬しちゃいます!」
「無視かよ。」
「そういえばこの話、作者が耕太先輩とやよい先輩に『本家本元の死神コンビ、参・上!!』って言わせたいがために作られたそうですよ。」
「うわー聞きたくもない裏事情聞いちゃったー」
「俺・・・ネコ耳よりお姉さんの方が好きなんだけどなぁ・・・」
「うわ!耕太先輩・・・」
「何、あんた私みたいなキャラが好きなわけ?ホホホ、困るわぁ〜もてるって。」
「いやゴメンお前は無いわ。」
「・・・西、私の鎌取って。」
「はいよっ」
「うわちょっと待っていやマジでスンマセうわあああ!!!」
こんな扱いですが耕太は大好きです。
やよいさんはお姉さんだと思います。むしろ姉御。
あと西ちゃんはレンタルです。(・・・
どうもすみませんでした。