終わらない鎮魂歌を歌おう
―そして少女は歌い始める―




「救うとは、どういうことですか?」
少女の問いに、その死神は軽く首を傾けた。
「難しいこと訊きますね……」
正直、経験が大事なんですよ、と死神は困ったように笑った。
「そうですね、強いて言うなら……」

「歌うこと、ですかね。」
「歌うこと?」
「そう。」
少女は首を傾げ、死神は頷く。
「その人の為に、その人に合った鎮魂歌を歌うこと。」
「その人に合った……鎮魂歌を……」
噛み締めるように復唱した少女に、死神は微笑んだ。
「そうです。それが私の仕事で、あなたのこれからの仕事になります。」
私の、これからの、仕事。
少女は呟き、緊張したのか大きく深呼吸をした。
「大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
「えっと……更に追い討ちをかけるようであれなんですけど、」
そこで一度言葉を切り、死神は笑顔を消した。
「失敗は許されません。どんな仕事でも言えますが、この仕事は特にです。」
「……はい。」
少女が頷くのを見て、死神は再び笑顔に戻った。
「まぁ、難しく考えてもかえって良くないので、ほどほどに、でいいですよ。」
「ほどほど、ですか?」
「ええ。この仕事に決まった型はありません。あなたなりのやり方で、歌ってください。」
「……余計に難しそうですね。」
ようやく小さな笑顔を見せた少女に、死神は軽くおどけて同意した。

「さて、それではあなたの名前になりますが……確か、一つ前の番号が840だったので、あなたは841、死神841号です。」
そう言ってから、あら、と死神は声をあげた。
「841って、や、よ、い、と読めますね。あなたの生前の名と同じ。」
その偶然に、死神は面白そうに笑う。
「これもある種の運命なのかもしれませんね。」
「はぁ……」
微妙な顔で返すやよいに、死神はまた笑った。

「では、これから頑張っていきましょう。救う為に――歌いましょう。ね、新米死神841号さん。」
「は、はいっ!」
死神の言葉に、少女――死神841号は大きく頷いた。










始まりのウタ。やよいさん大好きです。
未乃タイキさん、お誕生日おめでとうございます!!(二回目)