あと、4日。
あと4日で・・・オレは、ヒトじゃなくなる。






―英雄にはなれない僕らだから〜6月4日〜―













「―うあぁぁぁっっ!!」

夜中突然悲鳴を上げて、甘崎優は飛び起きた。
現在、午後十一時半過ぎ。







最近彼は、こうしてうなされて飛び起きることが多くなっていた。
見る夢は決まって、


『自分が怪獣になる夢』。


それは自分で望んだことであり、もうすぐ実現すること。
(なのに・・・どうしちゃったんだよオレ・・・)






呼吸を整えてから、びっしょりと汗をかいていることに気付く。
それが気持ち悪かったので、とりあえずシャツを着替えた。

一段落してふと、そのシャツに書いてある「MONSTER」という単語に気づき、着たばかりのそれをおもわず脱いだ。







結局また違うシャツに着替えて布団に入ったが、なかなか眠れない。
しばらく寝返りをうったりして何とか寝ようと試みたが、眠気は訪れず、なんとなしにそっと、家の外に出てみた。
生ぬるい夜風も、普段より心地よかった。



暗闇に逃げるように街灯から離れてふと空を見上げた甘崎は、もう少しで声を上げそうになった。

(すげえ・・・星って・・・こんなに多くて綺麗だったっけ・・・)

田舎に比べれば全然見える星の数は少ないが、それでも綺麗だった。
星空なんて眺めたのは本当に久しぶりで。
自然と涙が出そうになるのを、力をこめて我慢した。















部屋に戻って、一人布団の上でうずくまる。

――後悔なんてないはずなのに。

思い浮かぶのは、怪獣、魔女、家族、友達、さっきの星空、そして――あの人。

「黛さん・・・」





『本当にこれでいいのか?』

『何を今更。これは、オレが望んだことなんだ。』



頭の中で、二つの思いが交錯する。

(教えてください黛さん・・・)

―オレは、本当に・・・















〜〜♪

静寂を破った突然の音楽。
メールが来た。

差出人は・・・
「黛さん・・・」






『差出人:黛さん
 件名:こんばんは〜♪
 本文:
 やっほー、まだ起きてる?
 いよいよ本番が迫ってきて、
 今から緊張しています。って
 早すぎかな(^_^;)それより、
 甘崎来れる?できれば見に
 来てほしいんだけどな〜・・・』












返信は、しなかった。










“ことり”


小さな音を立てて、時計の針は12時を指した。


















――次の満月まで、あと3日。
















あとがき

学校の登下校中に電車の中で妄想を膨らませ、携帯にてけてけ打ち込んでできた作品です。