『喧嘩友達でも、やっぱ別れるのは寂しいよ。』
「〜♪〜♪♪〜」
「おっ・・・」
(あいつだ・・・)
「お嬢さん、ご機嫌だなァ。何かいいことあったのかィ?」
「ん・・・ああ、えっと・・・あ、ゴリラの仲間のサディスティック星の王子様アルな。」
「・・・よくご存知で。ところで、さっきの答えは?」
「ああ、そうアル。とびっきりいいことあったアルよ。」
そういうと、彼女は珍しく嬉しそうに俺の耳に口を寄せ、大事な秘密のように囁いた。
「私、星に帰れることになったアル!」
と。
「え・・・」
じゃあ、帰るネ!と手を振って走り去りかけた彼女の手を、咄嗟に掴まえていた。
「・・・・・・?」
怪訝そうに見つめる彼女。
「あ、いや・・・」
言葉に困りながらも、手は離さない。
「・・・万事屋さんたちは何て?むしろなんでいきなり?」
やっと口にしたのは、そんな言葉だった。
「・・・宝くじ当たったアル。そのお金あれば、星に帰れるのヨ。銀ちゃんに言ったら横取りされてしまうネ。だからまだ言ってないアル。」
お前と私だけの秘密ヨ、とウインクしてみせる彼女に、どう反応していいかわからなかった。
「・・・いつ出発でィ?」
できるだけなんでもないように話したつもりだったのに、声がほんの少しうわずってしまった。
「あさって!」
彼女の無邪気な声とは裏腹に、俺は再び大きなショックを受けた。
「あさっ・・・て・・・?」
いくらなんでも早すぎることに、俺は完全に冷静さを失ってしまった。
「っなんでそんなっ・・・急すぎっ!」
そんな俺に、彼女は目をぱちくりとさせ、
「・・・お前にそんなこと言われるとは思わなかったヨ。」
と呟いた。
それもそうだ、と思った。
俺たちは、何故か出会うたびに喧嘩する、ただそれだけの関係なんだから。
けど、どうしても気にしてしまったのだ。
どうして?
「・・・おーい、王子さん?」
はっとして我に返る。
つい考え込んでしまった。
彼女の手を掴んだままなのに。
「・・・ああ、ワリィ。」
そっと手を離す。
何故だか少し、名残惜しかった。
「お前、今日ちょっと変ヨ。」
(あんたのせいだよ)
「何か悪いモンでも食べたカ?」
(あんたのところ天パじゃあるまいし)
声には出さずに、黙って首を振る。
「・・・でも、元気ないアル。」
「気のせいだろィ。」
出てくるのは強がりばかり。
「ひょっとして・・・寂しいの?」
寂しい?
・・・ああ、そうか。この気持ちは・・・
「そうかもしれねェや。」
きっと、寂しいんだ。
「・・・そっか。」
「ああ。」
「なんか嬉しいヨ。」
「はい?」
突拍子もないことを言う娘だと思った。
こっちは寂しいと言ってるのに、『嬉しい』とは?
そんな俺の気持ちを読み取ったのか、彼女は続けた。
「銀ちゃんや新八以外に、私がいなくなると寂しいって思ってくれる人がいるナンテ。コレ、とても幸せなことヨ。」
だから嬉しい、と彼女は言った。
そんな顔見せるな。
そんな風に、悲しそうに笑うなよ。
・・・どうしたらいいかわかんねぇじゃねーか。
きゅっと唇を噛んだ俺の頭に、ふわりと手が置かれた。
見ると、彼女が精一杯背伸びしている。
「・・・何してんでィ。」
「お前がそんな悲しそうな顔するからヨ。」
それはお互い様だろィ、と言う言葉は流されて、いい子いい子、と頭を撫でられた。
だが、反抗する気にはならなかったので、俺はしばらく、されるがままにしていた。
けれど、時間は無常にも過ぎていくもので。
「・・・そろそろ帰るネ。」
ゆっくりと離れていく手。
掴んで引き止めたかったが、体が動かなかった。
「お前と会っても喧嘩しないなんて、初めてネ!」
明日は雨ネ、なんて笑う彼女に、こちらも頑張って笑顔を作ってみる。
「帰る前に、お前に会えてよかったヨ。」
「・・・俺もだよ。」
まぎれもない、俺の本音だ。
「・・・あ、それから俺は“王子”じゃなくて、沖田総悟。今更だけどな。」
「へぇ・・・私は神楽ヨ。ほんと今更だけど。」
遅すぎる自己紹介だった。
「じゃあネ、・・・ソーゴ。」
彼女はそういって手を振ると、向こうへと駆けていった。
「・・・じゃーな、神楽。」
俺はその後ろ姿を、ずっと見つめていた。
あとがき
片思い話?ですか?(聞くな)
まだ気持ちに気づくとこまではいってないかな・・・ってとこでしょうか。(自信ナシ)
実は、最初はこれのつづきがあったんですよ。
でも、コレで終わりにしたほうが、切ない感じを出せていていいかなー・・・と。
ふっちゃけ面倒。とかいうんじゃないですから!!
皆様的には・・・どうでしょうか・・・。
それでは、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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