57、58、59、


0時。



日付が変わると同時に、携帯電話が鳴る。メールだ。

しかしその持ち主は、すぐには携帯をとらずにしばらくそれを見つめていた。

鳴り終わったかと思うとまた鳴り、それがまた止まって・・・を繰り返し、気付けば時刻は0時5分。
そこでようやく、持ち主は携帯を手にした。
「そろそろ落ちついたかNa・・・」
かちゃりと開いてみると、そこには、


『新着メール 32件』


それを見て、持ち主は嬉しそうに、記録更新♪と呟いて順にメールを読んでいった。





「☆彡誕生日おめでとう☆彡イィ@F歳にしちゃってください!!野球頑張れ!!」



書いてあったのは大体そんな感じのこと。
それを、彼・・・虎鉄大河は嬉しそうに読んでいった。が、
「あ・・・れ?」
進んでいくうちに、意外そうな表情になる。
そしてそれは、次第に曇っていった。





そして、32通目


差出人・・・三象。


「あはははは・・・みぞーさん日本語使えるんDaー・・・」
内容に似合わない、乾いた笑い声。
それからもぽつぽつとメールが来たが、同中の奴だったり、野球部の後輩だったり。



肝心の人からは、来ない。



「牛尾さんや鹿目さん、梅、長戸・・・しまいにゃバカ猿からもきてんのに・・・」



(猪里ちゃーん、ひょっとして忘れちゃってますKaー・・・?)





一番の親友・・・のはずの猪里からは、きてなかった。







結局それから1時まで待ってみたが、とうとうメールはこなかった。












6時間後。
朝練のため、人が少ない道をてくてくと歩く。



(なんか気になって、あれからほとんど寝れなかった・・・化学の時間寝るからいーけどSa。)



(猪里・・・忘れちゃったのかYo・・・?)



吐く息が白い。
頭が重い。



「さみ・・・」






「おはよー。」
ふいに後ろから、声をかけられ、虎鉄はゆっくりと振り向いた。
「猪里・・・」
寝不足の顔で恨めしそうに見るが(そしてそれはただの逆恨みでしかないのだが)、見られている当の本人は爽やかに笑っている。
「・・・あのさ、」
「虎鉄、お誕生日おめでと!!」
メールのことを聞こうとした虎鉄だったが、猪里のその声と言葉に、思わずポカンとしてしまった。



それから一瞬遅れて、差し出されたプレゼントに気付く。
「お前・・・覚えててくれたのKa・・・?」
「あったりまえたい、一週間前からずーっとカウントダウンしとったけんね!」
「じゃあ、メールくれなかったのは・・・?」
恐る恐る尋ねる虎鉄に、猪里は申し訳なさそうに笑った。
「俺な、メールとかあんま好きやないっちゃんねー・・・」
困ったように頬をかきながら、猪里は続ける。
「・・・メールって、ボタン一つ、指一本で簡単に消えるっちゃろ?そこがなんか・・・好かん。」
やけん、言葉と手紙で祝おうと思ったっちゃんね。と猪里は笑った。
そういえば、と改めてプレゼントを見ると、袋に付いていた紙に、直筆で「誕生日おめでとう!!」と書いてある。
「猪里・・・」
ふいに、虎鉄が俯いた。
「どっ、どないしたん?ごめっ、やっぱメール送」
心配そうに手を伸ばした猪里だったが、がばっと顔を上げた虎鉄に慌てて手を引っ込めた。
「アリガト猪里!すっげー嬉しい!オレっ、このプレゼントと手紙、大事にする!一生大事にするから!」
その発言にしばしきょとんしてから、大袈裟やねー、と猪里は呆れたように笑った。
「マジだZe!?」
「はいはい、光栄ですー」




「虎鉄―」
「んー?」
「・・・おめでとぉ。」
「・・・ありがっと☆」






君といるだけでさっきまでの気分がウソみたいに変わって、


「やっと猪里に追いついたZe☆」
「でもあと四か月ちょいで俺がまた年上になるばい。」


嬉しさでバカみたいにはしゃげて、


「うぁーっっ!!そーだっTa!くそー、猪里、お前もうちょっと遅く産まれろYo!」
「無理に決まっとろーもん、お前がもっと早ぅに産まれてくればよかったとね。」


ああ、やっぱり君は、


「HAHA、ごもっともで。」
「まぁどっちにしても無理やけどな。」
「身も蓋もねーYo!!」





オレの一番の親友です。















来年も、再来年も、それからもずっと。





『おめでとう』



『ありがとう』





2人、祝いあえますように。








おわり。








































すぺしゃるさんくすkouさん・ゆずにょさん